2010年06月02日

逢魔ヶ刻のATM

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  6月2日、暮れ六つ。

  銀行に金を入れに行った。
  一円玉が溜まったので、ついでに入れた。

  誰もいないATMコーナーは、シーンと静まり返って、ドッドッドッド!と、一円玉を数える機械の音だけが聞こえている。マジックミラーになっている防犯カメラを覗き込むと、不気味に歪んだ自分の顔が映った。時間がかかるであろう入金処理の間、私は微動だにせず、ただ立ち尽くした。 


 『ブーッ!』


  奇怪な音が鳴ったかと思うと、画面にエラーが表示された。


 『取引停止』


 『????』


  初めてのトラブルに私の思考も停止した。

  ドコを押してもウンともスンとも言わない。メンテナンスへの直通受話器をとってみるが、誰も出ない。
 
 
  はて、困った...。

 
  その時、シャッターが降りたカウンターの向こうから、女子行員らしき笑い声が微かに聞こえた。


 『すみません!』

 
 私は『スタッフオンリー』と書かれた鉄のドアをノックして呼び掛けた。すると女性の声はピタリと止まり、気配が消えた。

 なんだか嫌な空気だ。銀行強盗にでも、勘違いされてしまったのだろうか。キャッシュカードはATMに人質に取られたままだから、身動きが取れないし、どうすればよいのか?このままだと警察がドッと押し寄せてくる気配すらある。静けさと緊張の中で、私はしばし呆然と立ち尽くした。
 
 
 『ドッドッドッド!』
 
 
 ドアの向こう側からドタバタと走る足音が聞こえてきた。
 
 
 『どの鍵だ?』
 
 
  の太い男の声だ。ドアの内鍵を開けようとしてモタついているのか、ガチャガチャ音がする。恐らく銀行の夜間ガードマンだろう。さぞかし屈強な男に違いない。これはもしかしたらドアが開いた瞬間、タックルを食らうやもしれぬぞ。
  ふっ、面白い。私には何の非もないのだ。来るなら来い。相手になってやる!!


  私は闘牛士のつもりで身構えた。


 『ガチャ!』
posted by 駿喆咲道 at 18:00 | TrackBack(0) | 日帖 | 更新情報をチェックする






■恋愛にも新規顧客開拓にも使える出遭いの教科書
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駿喆咲道@suntetusakudu

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1978年生まれ、東京都在住。「人間とは何か、私とは何か」をテーマに、実存と人間関係の悩みに光を注ぐことを使命にしています。尊敬する人は『夜と霧』の著者 V.E.フランクル(ロゴセラピー)です。

私は常に「道」を求めて開発改善に努めています。それゆえ記事の投稿後も何度も推敲を繰り返します。それにより読者に損害が生じることは恐らくありませんので御安心ください。

なお、毒舌、エスプリ、おやじギャグ、スラングなどを用いたり、テキトーな言葉遊びによって人を煙に巻くような話をすることがあります。下ネタを発することもあります。その旨、ご注意ください。


I produced this template on August 29,2017.


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